黒き貴婦人
うちのはこんな感じ、というくらいのまとめ。
テレーゼさんの『母にして姉』はそのまま、
父との近親相姦の結果の子がメル、ということ。
その辺の経緯は妄想ですが、前に書いたので今回は略します。
社会的通念としての教会の教えでは、近親相姦は罪。
しかし、貴族社会では家の血を守るためという名目で、
秘密裏ながら当たり前のようにまかり通っていたのではないかと思ってます。
けれど、当時は信仰に篤かったテレーゼは、
自分との間に子をもうけた父を告発し、自分もろともに断罪した。
それが『断罪者にして贖罪者』ということかと。
そして、エリーザベトに恋したメルに対して、
「闇を背負うのは私で終わり。あなたは光の中へお行きなさい」
というのは、近親相姦の系譜を終わらせるということなんじゃないかな、と。
それから、メルが戻ったときに連れてきた二人を、
テレーゼはエリーザべトの母の差し金だと思ったんじゃないだろうか。
よりにもよってその日…だし。
どこの馬の骨とも知れない二人組に対して
わざわざ貴族として名乗りを上げるテレーゼに
前から違和感があったのだけれど、
二人を貴族の子飼いだと思っていたのなら納得がいく。
『彼女が魔女になった理由』の『喜劇』というのは、
エリーザべトとその母、つまり自分が助けた者に裏切られた、と思った
ということを指しているんじゃないだろうか。
そこから『火刑の魔女』のラストのエリーゼの台詞、
「子供なんて図々しくて嘘吐きで、私は大嫌い」につながっていると、
切ないなあ…と思う。
で、『宵闇の歌』の最初の台詞は、
「メル、(愛しているから一緒に)地獄に堕ちて」
だと思ってます。私は。